「安全資産として社債はどうでしょうか?」
最近、国債の金利が上がってきたことで、個人向け国債など「債券」に対する注目度が上がってきていると感じます。
先日、「安全資産として社債はどうでしょうか?」という質問をいただきました。
同じように気になっている方もいるのではないかと思ったので、社債についての考え方についてまとめました。
個人投資家に社債は不要
結論からいうと、社債を資産の中に入れる必要はありません。
プロの投資家、債券投資が趣味の方以外の一般投資家にとって、「社債」は国内・海外問わず不要です。
社債とは?
まず、「社債」とは何なのかです。
一言でいうと、企業がお金を集めるために発行する「債券(借用証書のようなもの)」です。
社債を買った人と社債の銘柄の企業は、お金を貸す・借りるの関係になります。
社債が必要ない3つの理由
では、なぜ社債は必要ないのでしょうか。理由は3つあります。
信用リスク
1つ目は、社債には信用リスクがあるからです。
もちろん、厳密には国債にも信用リスクはあります。
しかし、通貨発行権がある国と、企業では比べものになりません。
繰り返しになりますが、社債とは企業にお金を貸す行為です。
銀行が企業にお金を融資する際に、綿密な調査などをすることはご存知のことと思います。
テレビドラマなどでもそのようなシーンがありますよね。
融資のプロでさえも調査に調査を重ねます。その上で、リスクに見合った妥当な金利で融資を実行します。
社債を発行している企業の信用とそのリスクに見合った金利がきちんとついているのか、この判断を一般の人がすることはかなり難しいと思います。
そのために、格付け機関が格付けをするのですが、1つの目安程度でしかありません。格付けが高いから安心とは言えないのです。
手数料の高さ
2つ目は、手数料です。
社債の手数料は目に見えませんが、かなり高額です。
金融庁も公表するように通達していて、今後は公表されることになると思われますが、現段階では分かりません。
基本的に金融機関で我々一般人が買うことができる社債は、プロの投資家である機関投資家が買わなかった”売れ残り”の債券です。
投資のプロがリスクとリターンが見合わないと判断して買わなかったために、企業が金融機関に依頼して債券価格に手数料を上乗せして販売、もしくは金利を抑えて販売しています。
ですから、金融機関で販売されている時点で、1つ目にお話しした信用リスクの部分で価格・金利ともに見合わないものなのです。
また、中途換金する場合にも、手数料がかかります。
実際に手数料として差し引かれるわけではないので、気づきにくいのですが、金融機関は本来売却する価格よりも安い価格でしか買い取ってくれません。
私たちが、債券を中途換金する場合どうなるかというと、金融機関がその債券を買い取ることになります。
割に合わない売れ残りの債券ですから、金融機関は買いたくありません。
そこで、本来の価格より安い価格でしか買い取ってくれないわけです。
(自分たちが顧客に売っておいて、そのままの価格では買い取りたくないって都合がいいような気がしますが…)
分散という観点
それから3つ目は、分散です。
やはり、投資の基本は分散です。
オルカンやS&P500など株式もしっかり分散されているように、債券も分散することが重要です。
なぜなら、初めに述べたように、信用リスクがあるからです。
少し昔の話にはなりますが、2001年にマイカルの個人向けに販売されていた社債がデフォルトしました。
その際の弁済率は30%でしたから、100万円保有していた人に戻ってきたのは、わずか30万円です。
しかも、その社債の格付けはAでしたし、民事再生法申請直前でも、投資適格のBBBでした。
個別の社債を購入すると、どうしても分散することが難しいです。
このようなことから、社債を持つ必要はないと考えます。
リスクは商品ではなく金額で調整する
リスクは商品ではなく金額で調整しましょう。
例えば、今回の事例で言えば、おそらく
「大きなリスクは取りたくない」
「でも、少しだけリターンも欲しい」
と考えられたのだと思います。
預金・国債以外に、安全にリターンを得られるものは基本的にありません。
リターンを得られるとしたら、見えていないだけで何かしらのリスクを取ることになります。
そうであれば、その資金の一部を運用する方が効率的です。
仮に1000万円があるとした場合、100万円はオルカンに、残り900万円は個人向け国債や預金に入れるという方法です。
この場合、1000万円全体で見ると、1〜2.5%程度のリターンが期待できます。
一方で、価格の変動幅は通常±2%程度です。
暴落したとしても±4%程度でしょう。
これなら、ローリスク・ローリターンで運用できます。
・社債を勧められた。
・社債を検討している
・知人が社債を検討している
という時は、ぜひこの記事を思い出していただけると嬉しいです。