(※この記事は2025年5月9日にYouTubeに投稿した動画を再構成したものです)
「株価が下がって、投資系の動画も証券口座も見たくない…」「投資なんてしなければよかったかも」
そんな風に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、実際に2022年3月からeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)で積立投資を続けてきた59歳の女性会社員の運用結果をご紹介します。下落相場の中でも冷静に投資を続けるためのヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
現在のeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の状況
まずは足元の相場状況から見ていきましょう。
2025年1月6日から5月7日までの4か月間の値動きを見ると、3月末にかけて大きく下落し、その後やや回復したものの、年始からの騰落率は**-9.28%**となっています。約1割の下落ということで、大きなショックを受けた方も、少し持ち直してホッとしている方もいらっしゃるかもしれません。

こうした中で、実際に長期投資を続けてきた方の運用結果はどうなっているのでしょうか。
59歳女性の運用結果
ご紹介するのは、59歳の会社員の女性です。2022年3月から投資をスタートし、現在(2025年5月2日時点)で約3年2か月の運用期間になります。
SBI証券での運用結果(2025年5月2日時点)
- 累計買付金額:6,694万7,205円
- 評価金額:9,189万5,791円
- 運用損益:+2,494万8,586円(+37.26%)
これだけ株価が下落している局面でも、しっかりとプラスを維持しています。

年別の運用成績を振り返る
年別のサマリーを見ると、なぜ今もプラスを維持できているのかが分かります。
| 年 | その年の騰落率 |
|---|---|
| 2022年(3月開始) | -5.50% |
| 2023年 | +30.98% |
| 2024年 | +32.09% |
| 2025年(年初来) | -10.38% |
投資を始めた2022年はマイナスでしたが、2023年・2024年と大きくプラスが続いたため、2025年に入って下落していても、トータルではまだ大きなプラスが残っている状態です。
1年前の運用結果と比較すると、むしろ利益が増えている
興味深いのは、1年前(2024年5月2日時点)の運用結果と比較したときの変化です。1年前の評価損益は+2,111万3,104円(+33.93%)でした。つまりこの1年で、株価が大きく変動したにもかかわらず、利益は約400万円ほど増えていることになります。
これはなぜかというと、2024年5月2日から2025年5月2日までのちょうど1年間の騰落率を見ると、**+5.08%**とプラスになっているからです。年初から投資した人にとっては大きなマイナスに見える相場でも、1年前から投資を続けていた人にとってはプラスの結果になっているのです。
さらに、直近で最も下落した2025年4月7日を基準に、そこから1年遡った期間(2024年4月8日〜2025年4月7日)を見ても、騰落率は**-4.51%**にとどまっています。早くから投資を続けてきた人にとっては、今回の下落もそれほど大きなダメージにはなっていないということが分かります。
2022年の下落局面との共通点
「株価が下がっているから、もう投資はやめようか」「解約してしまおうか」と悩んでいる方もいるかもしれません。しかし、今回ご紹介している方が投資を始めた2022年も、実によく似た値動きを経験しています。
投資を開始した直後の2022年3月31日から同年12月30日までの騰落率は**-7.28%**で、1年を通して下落した局面でした。それでもそのまま保有を続けたことで、今回のようなプラスの結果につながっています。何もせず、長期投資をそのまま継続することの大切さがよく分かる事例です。
楽天証券での積立投資と、資産全体のバランス
この方はSBI証券だけでなく、楽天証券でも積立投資を行っています。2つの証券口座を合計すると、投資額7,104万7,204円に対して評価額は9,676万5,649円となり、運用益は2,571万8,445円です。

「これだけ株式を持っていて大丈夫なの?」と心配される方もいるかもしれませんが、この方は投資信託だけでなく、個人向け国債も9,000万円分保有しています。つまり、資産全体で見ると以下のようなバランスになっています。
- リスク資産(投資信託):9,600万円
- 無リスク資産(預金・個人向け国債):9,000万円
- 生活防衛資金:3,800万円

リスク資産である投資信託が仮に3割程度下落したとしても、生活防衛資金や無リスク資産があるため、生活に支障が出ない範囲で運用されているということです。
個別株や高配当株、ETF、外国債券、外貨建て保険、FX、仮想通貨、ゴールドといった複雑な商品を組み合わせる必要はなく、シンプルにリスク資産と無リスク資産に分けて自分の投資方針に基づき資産を管理する、というのがこの方の運用スタイルです。
これまでの結果からの考察
「自分はそんなに資産を持っていないから関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、金額の桁を1つ下げて考えてみることもできます。たとえば資産2,000万円の場合、
- リスク資産(投資信託):900万円
- 無リスク資産(預金・個人向け国債):700万円
- 生活防衛資金:400万円
といった配分が一つの目安になります(もちろん配分は人それぞれで調整が必要です)。
ここで大切なのは、リスク資産が一時的に3割程度下落する可能性を織り込んでおくことです。仮に900万円のリスク資産が3割下落すると約300万円の下落となり、資産全体は2,000万円から1,700万円になります。この状態でも生活や心理的に問題がないかどうかを、事前に考えておくことが重要です。
大事なのは「誰かがいくら投資しているか」ではなく、「自分にとって適正なリスク許容度がどれくらいか」を把握し、その範囲内で投資を行うことです。リスク許容度には、理論的に耐えられる金額の話と、実際に資産が減ったときに精神的に耐えられるかという感情的な部分の両方があります。この2つのバランスを考えながら投資額を調整していくことが大切です。
下落相場でも一喜一憂しないために
50代後半から60代以降のお金との向き合い方としては、「いかに増やすか」よりも「どのように守るか」という視点がより重要になってきます。そしてこの「守る」には、金額(数字)を守るという意味だけでなく、お金の価値を守るという意味も含まれています。
たとえば、毎月1万円だった光熱費が物価上昇によって1万5,000円になったとします。これは光熱費が上がったとも言えますが、見方を変えれば「お金の価値が下がった」とも考えられます。
実際に、物価上昇率によってお金の価値がどう変化するかを見てみましょう。1,000万円を保有していた場合、
- 物価上昇率0%:20年後も1,000万円の価値
- 物価上昇率1%:20年後には819万円の価値
- 物価上昇率2%:20年後には672万円の価値
このように、物価上昇率が続けば、同じ1,000万円でも実質的な価値はどんどん目減りしていきます。60歳の方が1,000万円を持っていても、20年後には670万円程度の価値しか持たない可能性がある、ということです。
だからこそ、お金を「守る」というのは単に金額を減らさないことではなく、お金の価値を目減りさせないように運用していくことが重要になります。そのためには、リスクを一切取らないことも、逆にリスクを取りすぎることも避け、自分自身のリスク許容度に合った金額で資産の価値を守っていく、という考え方が求められます。
まとめ
今回ご紹介した59歳女性の事例からは、次のようなポイントが見えてきます。
- 難しい運用方法(個別株・高配当株・FX・仮想通貨など)は一切必要ない
- シンプルにリスク資産と無リスク資産に分けて管理するだけで十分
- 大切なのは自分自身のリスク許容度を把握すること
- 投資の基本は「長期・分散・低コスト」
- 相場が下落しているタイミングを気にして売買のタイミングを計る必要はない
- お金を「増やす」ことより「価値を守る」ことを意識する
株価が下落する局面では、誰しも不安になるものです。しかし、長期で積立を続けてきた方の実際のデータを見ると、下落局面をそのままやり過ごすことの意味がよく分かります。ご自身のリスク許容度を把握したうえで、じっくりと資産形成に向き合っていただければと思います。
本記事は特定の商品の売買を推奨するものではなく、あくまで一事例および一般的な情報提供を目的としたものです。投資は自己判断・自己責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。